1、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定について
あいち地球温暖化防止戦略2030の改定についてお伺い致します。
世界の平均気温は、産業革命以降これまでに約1.1℃上昇しています。この夏、欧州や米国などは、「熱波」に襲われ、6月の世界の平均気温は観測史上3番目に高かったとのことです。国内に目を向ければ、この夏は、全国的に記録的な高温となりました。近年、地球温暖化が進んで猛暑が増えていると言われ、各地でこうした異常気象が社会に影響を与えています。
地球温暖化問題は、避けて通ることのできない喫緊の課題となっており、「気候危機」とも言われています。長年にわたって警鐘が鳴らされてきたにもかかわらず、歯止めがかかっておりません。今に生きる我々の世代が、解決に向けた具体的かつ決定的な行動を起こし、その成果を出すことが強く求められている時代となっています。
2015年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。この協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より下回る水準に抑え、1.5℃に抑える努力を追求することなどが合意されました。世界が地球温暖化対策に取り組む歴史的な転換点となり、脱炭素社会に向けて走り出しました。気温の上昇を1.5℃以内に抑えるためには、2030年までに2010年の水準から45%削減し、2050年にカーボンニュートラルにする必要があるとしています。これを受けてカーボンニュートラルを宣言する国が相次ぐようになりました。我が国においても、2020年10月、当時の菅首相が所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、2021年6月、地球温暖化対策推進法を改正、脱炭素社会の実現を基本理念に位置付けるとともに、2021年10月、「地球温暖化対策計画」の改定では、「2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていく。」という目標を掲げました。
これまで本県は、2018年2月に当時の国の削減目標と整合する形で、「2030年度に温室効果ガス総排出量を2013年度比で26%削減する」ことを目標に掲げた「あいち地球温暖化防止戦略2030」を策定し、その達成に向けた取組を進めてきたところです。こうした取組によって、住宅用太陽光発電の設置件数が全国1位、EV・PHV・FCVといったゼロエミッション車の普及台数が全国1位となるなど、一定の成果をあげてきましたが、産業県であるがゆえに、温室効果ガス排出量は全国最多レベルとなっています。本県は、戦略の取組を加速するため、「あいちカーボンニュートラル戦略会議」の設置、中部圏大規模水素サプライチェーン社会実装推進会議の設立、 使途を環境改善効果のある事業に限定した県債であるグリーンボンドの発行など、新たな取組に次々と着手しています。
一方、「あいち地球温暖化防止戦略2030」については、国のカーボンニュートラル宣言及び削減目標の引き上げを踏まえ、2022年2月、改定に着手したところであり、先の6月議会において、我が党の岡県議が行った質問に対しても、「戦略の改定作業を進めている。」との答弁がありました。
そこで、お伺いします。
「あいち地球温暖化防止戦略2030」の改定作業について、現状の進捗状況はどのようになっているのかお伺いします。
2、橋梁とトンネルの点検における新技術の活用の取り組みについて
次に、県が管理する道路施設の内、橋梁とトンネルの点検における新技術の活用の取り組みについてお伺いいたします。
道路は、平時において、社会経済活動を支えるとともに、災害時においては、発災時の救急救命及び被災後の復旧・復興活動に資する重要な社会インフラであります。とりわけ、橋やトンネルなどの大型構造物は、老朽化により、損傷や変状が発生した場合、構造物に致命的な被害が生じる可能性があり、県民の生命・財産を危うくするのみならず、社会経済活動にも大きな影響を及ぼします。
日本のインフラの老朽化を考える上で、参考になるのがアメリカです。1930年代、世界恐慌に対する景気対策として、ルーズベルト大統領は、ニューディール政策を実施し、その一環として積極的な公共事業を行い、インフラの近代化が急速に進みます。
しかし、十分な維持管理・更新がなされなかったことにより、1980年代になると、道路や橋の老朽化による事故が続発し、「荒廃するアメリカ」といわれ社会問題となりました。その後、アメリカは、ガソリン税を倍増するなど、財源の拡充を図り、インフラ全体に対する投資を確保し、既存インフラの適切なメンテナンスと戦略的なインフラ整備を両立させました。
一方、日本では、アメリカに後れること30年、1960年代の高度経済成長期に道路整備が急ピッチに進められました。2010年代に多くの橋梁が高齢化を迎えることになります。日本を「荒廃するニッポン」とさせないよう、維持管理を適切に実行していくことが現在の重要な課題であります。
2012年12月に発生した中央自動車道「笹子トンネル」の天井版落下事故では、9名の尊い命が失われました。また、2020年には、山口県上関大橋においてPC鋼材の破断により、通行車両が破損し、原因究明や復旧などに長期間の通行止めが必要となりました。さらに、2021年には、和歌山市「六十谷水管橋」が一部崩落し、市北部約6万世帯で断水が生じた事故が発生しました。
これらの事故はいずれも、構造的に重要な箇所の近接目視点検が十分でなかったと指摘されており、メンテナンスサイクルにおける「点検」の重要性が改めて認識されたところであります。「笹子トンネル」の事故を受け、国は2013年に道路法を改正し、橋梁、トンネル、横断歩道橋などの大型の道路構造物に対し、5年サイクルの近接目視による定期点検を義務付けました。全国の橋梁の内、建設後、50年を経過した橋梁の割合は、2021年度末34%であるのに対し、10年後には約59%になると報告されております。特に、古くからものづくり産業等の分野を中心とした経済活動や県民生活を支える道路整備に取り組んできた本県においては、建設後50年経過した橋梁の割合は、2021年度末48%であり、全国平均以上に高齢化が進展しております。
これら急速に高齢化する橋梁を将来にわたり適切に維持管理していくには、メンテナンスサイクルを確実に回す仕組みを構築することが必要であります。そして、メンテナンスサイクルを回す上で、構造物の現在の健全性を確認するための「点検」の重要性は、ますます高まっているものと考えます。2014年度から、全ての道路管理者は、全国統一の基準による点検に着手し、2018年度に1巡目点検を終え、現在、2巡目点検の4年目を迎えているところであります。
1巡目点検においては、今まで一度も点検を実施していなかった施設もあったことから、規模の大小にかかわらず、まずは近接目視を行い、状態の把握を確認することが必要でありましたが、費用や労力が必要になるなどの課題が見つかりました。
このため、2019年に、国は、1巡目の点検・診断に関する知見を踏まえ、ボックスカルバートなど構造が単純、または小規模な橋梁については、点検項目の絞り込みや、近接目視の代替えとして、ドローンやロボットカメラなどによる新技術を規定するなど、効率的な点検・診断ができるよう点検基準・要領等を見直しました。
さらに、国は、新技術の導入を促すため、参考資料となる「点検支援技術性能カタログ」を2019年2月に策定しました。このカタログは、以降、技術の拡充が行われ、初版の16技術から、本年9月には169技術まで拡充されたところであります。このように道路施設の点検において新技術を活用する環境は整いつつあります。
しかしながら、先月、国土交通省から公表された最新の「道路メンテナンス年報」において、点検における新技術の活用検討・活用状況の結果が示されており、「橋梁点検の実施にあたり、新技術の活用を検討したものの、活用に至らなかった地方公共団体は、全国で837団体、全体の75%に上る」ことが報告されています。
しかし、大規模な構造物や交通量の多い路線など制約の多い施設の点検については、近接目視の代替となる新技術を用いることにより、コストの削減や規制日数の短縮などの効果が期待できると考えます。
さらに、今後3巡目、4巡目と点検を繰り返す中で、点検データを単に蓄積するだけでなく、データを有効活用する取り組みも必要と考えます。例えば、前回点検からの進行を把握し、分析・評価することで、修繕が必要な施設をAIにより、あらかじめ抽出するなど、予防保全型のメンテナンスを構築する上でも重要と考えます。
一方で、点検する人材の不足についても、深刻な状況であります。建設産業全体の就業者数は、ピークだった1997年の約685万人から約20年後の2016年には495万人まで減少しております。その年齢構成も、60歳以上が26%占めており、全産業に比べ、高齢化の度合いが高いと言われています。このような状況を踏まえ、今後、ますます高齢化が進展する道路施設について、限られた予算、人員の中で適切に維持・管理するためには、新技術を活用し点検作業の効率化、省力化を図ることで、コスト削減に取り組む必要があると考えます。
そこでお尋ねいたします。県が管理する道路施設の内、橋梁とトンネルの点検における新技術活用の取り組みについてお伺いいたします。
全国にある橋梁、約73万橋の内、市町村道の橋梁は、7割を占める約52万橋と、市町村が管理する橋梁についても、点検の質やさらなる効率化が求められているところであります。
しかしながら、国土交通省が地方自治体を対象としたアンケート調査結果によると、今後の点検見通しについて、実施困難とする自治体が3割弱存在することが明らかになっております。見通しが立たない理由として、予算・職員の不足により点検結果の診断が難しいことが挙げられております。
加えて、「道路メンテナンス年報」によれば、2022年度の橋梁管理に携わる土木技術者が1人もいない自治体の割合は、町では22%、村では56%にもなることが報告されています。このように、土木技術者がいないような自治体に対しては、道路施設の検査を確実に実施し、特に点検の品質や診断の精度を確保するための業務支援が必要であると考えます。
そこでお尋ねいたします。県として、技術者不足の市町村に対する橋梁の点検業務の支援についてお伺いいたします。
3、小中学校における不登校児童生徒への支援について
次に、小中学校における不登校児童生徒への支援についてお伺いいたします。
昨年10月に、文部科学省が公表した「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」において、小中学校における不登校児童生徒は、19万6,127人となっており、2019年度の18万1,272人から増加し、過去最高となりました。
ここで示されている不登校とは、1年間に連続または断続して30日以上欠席した場合のことを指しております。本県の現状を見ると、2020年度の不登校児童生徒数は、国公私立の小中学校あわせて、13,263人であり、前年度比、1,112人増と全国同様、最も多い状況となっています。10年前の数値は8,019人であり、10年間で約1.7倍増です。
将来を担う多くの子供たちが不登校となり、学校へ行くことができないといったことに、私自身、驚かされたところであり、生徒指導上の大きな課題に対し、早急な対策が必要と考えます。今年5月、文部科学省の不登校に関する調査研究協力者会議の報告書の中で、不登校児童生徒が増加する背景として、コロナ禍による生活環境の変化、生活リズムが乱れやすい状況であることや、学校生活において、様々な制限のある中での交友関係が築けないなど、登校する意欲が湧きにくい状況等が示されております。
また、学校内外のいずれかの機関でも、相談・指導を受けていない児童生徒が34.3%あったとされており、こうした児童生徒を早期に把握し、適切な支援につなげていくことの必要性が求められております。さらには、「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」の結果において、不登校児童生徒本人や保護者へのアンケート調査のうち、学校を休んでいる間の「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」として、「勉強が分からない」が最も多く、小学校で31%、中学校で42%と、複数回答ではあるものの、理由の上位を占めており、欠席中の学習支援の重要性が再認識される結果となっております。
これらの各調査結果からは、現在、不登校の要因や背景、不登校である期間やその受け止め方は、個々の状況によって多様であり、支援に対するニーズも多岐に渡っていることがみえてくるのではないでしょうか。こうした結果を踏まえ、不登校に関する調査研究協力者会議では、「誰一人取り残さない学校づくり」、「不登校傾向のある児童生徒に関する支援ニーズの早期把握」、「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」、「不登校児童生徒の社会的自立を目指した中長期的支援」の四つを掲げ、今後、重点的に実施すべき施策として、個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の方向性が示されております。
県は、これまで児童生徒への不登校対策として、専門的な知識を有する、スクールカウンセラーの設置やスクールソーシャルワーカーの配置に必要となる経費の支援の拡充を図ってこられました。また、いじめ等の悩みに対する24時間いつでも電話による相談が可能となる「子どもSOSほっとライン24」を設置し、相談体制の充実にも取り組まれており、効果も上がっていると伺っております。
しかしながら、こうした取組は、どちらかというと不登校になる前の段階の未然防止策の効果があるものの、一方で、一旦、学校へ来られなくなり、不登校となった児童生徒への支援策としては、
まだまだ、不十分であると考えざるを得ないのではないでしょうか。2016年12月に、「義務教育段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が施行され、不登校児童生徒に対しては、学校復帰のみをめざすのではなく、社会的な自立をめざすと示されており、今後は、様々な場面において、教育機会の保障に取り組んで行く必要があります。
現在、市町村においては、不登校児童生徒の学校生活への復帰を支援することを目的に、児童・生徒が在籍する学校と連携を取り、個別カウセリングや教科書を用いた指導、集団での指導などを計画的かつ組織的に行う、これまで「適応指導教室」と呼ばれていた教育支援センターがあります。
公民館など学校以外の場所に設置され、居場所としても活用がされております。私の地元である春日井市の中学校では、2020年度から試行的に学校内に「登校支援室」という校内教育支援センターを設置し、今年度からは、15の中学校で設置が完了しております。何らかの理由で教室に入れない生徒たちの居場所を学校内に確保する取組が進められ、子どもたちが安心して学校生活を送ることが出来るよう不登校及び不登校傾向の子どもたちへの支援を行っております。
登校支援室には、市が雇用した非常勤職員が常に配置され、また、複数校を巡回する指導員5人が、学校に対し、登校支援室の運営にかかるアドバイスを行っており、子どもたちの中には、登校状況に改善が見られる場合もあり、子どもたちにとって、安心して過ごせる居場所や学びの場所であるとともに、保護者にとって心のよりどころとなっています。こうした取組は、県内のいくつかの市町村でも実施されはじめており、それぞれの市町村において、工夫した取組が行われています。
今後、他の市町村においても校内に教育支援センターを設置することが増えていくのではないでしょうか。県においても、市町村の先進的な取組事例をしっかりと啓発していただきたいと思います。
子供たちの学びの選択肢の一つとしての機能を強化された県教育支援センターは、これまで、市町村が実施している支援方法に加え、自宅からパソコンによるオンライン支援も行われており、なかでも、NPO法人と連携し、インターネット上の仮想空間「メタバース」技術を用いた教育支援も進められているとのことです。
今後、本県においても、不登校となってしまった児童生徒への多様な教育機会を確保するため、個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援の実現に向けた取組が重要であると考えます。
そこでお伺いいたします。今後、小中学校の不登校児童生徒への支援にどのように取り組んでいかれるのか、考えをお伺いいたします。
4、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について
続きまして、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について、質問いたします。
公明党では、かねてより、県立学校における公費による空調設備の設置について、機会あるごとに要望してまいりました。私も、初当選した2011年の9月議会の一般質問おいて、「特別支援学校のエアコン設置について」質問いたしましたのを皮切りに、高等学校を含めた県立学校における公費による空調設備の設置については、高い関心をもって注視しつつ、働きかけを続けてまいりました。
当時の学校施設の整備については、東日本大震災が起きたあとでもあり、校舎等の耐震化を最優先に取り組んでいた時期であります。その後、校舎等の耐震化がほぼ完了した2017年度から、空調設備が未設置となっていた特別支援学校の普通教室や特別教室への設置に着手し、2020年度にはすべての教室への設置が完了したことは、高く評価するところであります。
一方、県立高校では、以前から多くの学校においてPTAがリース契約した空調設備が設置され、その費用を保護者が負担している状況でありましたが、昨年度から、知事の英断により、普通教室の空調設備について公費化が実施されました。
わが党が長年訴え続けてきた要望が実現できたことは、大変に嬉しく思った次第であります。
この公費化により、すべての県立学校において、保護者負担が大幅に軽減されるものと思っておりましたが、中々そうはなっておらず、一部の県立高校では、公費化されたにもかかわらず、全く公費化前とかわらない状況であることをお聞きしました。
保護者負担を軽減できていない学校については、様々事情があるとはいえ、学校まかせにせず、教育委員会がしっかりとフォローアップし、少しでも保護者負担軽減につなげていくべきであると考えます。
そこでお伺いいたします。
県立学校における普通教室の空調の公費化に伴い、公費化以前と比較して保護者負担額はどのくらい軽減されたのか。また、負担軽減がなされていない学校があることから、今後、どのように取り組んでいかれるのか、教育長にお伺いいたします。
令和4年9月定例県議会一般質問に対する答弁要旨
令和4年9月定例県議会一般質問に対する答弁要旨を掲載致します。
1、あいち地球温暖化防止戦略2030の改定について
(環境局長答弁要旨)
あいち地球温暖化防止戦略2030の改定の進捗状況についてお答えします。
本県では、今年6月、学識者、経済団体、関係行政機関等から構成される「あいち地球温暖化防止戦略2030改定検討委員会」を立ち上げ、これまで2回会議を開催し、検討を行ってまいりました。
7月5日に開催した第1回の委員会では、戦略改定に向けた課題認識や戦略の改定版の構成を、9月8日に開催した第2回の委員会では、本県における温室効果ガスの排出量や再生可能エネルギー導入量の将来推計の方法、重点的に取り組むべき政策の柱などについて、検討していただきました。
特に個別施策面では、議員お示しのカーボンニュートラル戦略会議における革新的・独創的なアイデアの募集・事業化支援やグリーンボンドの発行を始め、名古屋港等におけるカーボンニュートラルポートの形成や建築物のZEB、ゼロ・エネルギー・ビル化のための事業者向け補助など、現行の戦略策定後に開始した取組を提示した上で、今後強化すべき施策や新たに取り組むべき施策の方向性について議論していただきました。
これに対して、各委員からは、「県民向けの啓発にあたっては、世代や生活環境に応じて異なるアプローチをするべきである」、「今後、対策を進めていく中小企業への支援の強化が重要である」、「運輸部門では、充電インフラ設備等の整備が重要であり、物流対策を進めるべきである」、「脱炭素を民間がビジネスチャンスと捉えることが重要である。産業や経済を興すという側面を強調してほしい」などといった幅広い意見をいただいております。今後、改定検討委員会での意見も踏まえながら、新たな削減目標やそれを達成するために必要な施策の追加などについて検討を進め、パブリックコメントを経て、年内を目途に改定していく予定としております。
2、道路施設の点検における新技術の活用について
(建設局長答弁要旨)
道路施設の点検における新技術の活用についてのお尋ねの内、まず、県が管理する橋梁とトンネルの点検における取組についてであります。橋梁やトンネルの点検は、近接目視、打音検査などが基本とされており、高い橋脚をもつ橋梁やトンネル天井部の点検には、足場設置や高所作業車が必要となるなど、コストや作業の安全性、効率化が課題となっております。また、高齢化の進展による熟練技術者の減少も懸念されております。これらの課題に対応するため、本県では、省力化、安全性の確保のほか、点検の質を高めることを目的に、新技術の活用を進めることとしております。
橋梁点検においては、まずは打音検査が不要と想定される、比較的健全な橋梁について、足場を使わずに近接点検が可能となるドローンの活用を、今年度4橋で試行的に導入してまいります。
また、トンネル点検においては、目視でのひび割れ調査と損傷図の作成に要する現地作業や膨大な手間を削減するため、車両に搭載した高性能カメラによる画像をAI解析し、自動的に損傷図を作成する新技術を、今年度1箇所で試行してまいります。これらの試行を通じて、点検の質を確認したうえで、効果を検証し、適用範囲の拡大を図ってまいります。さらに、国が新技術について取りまとめた「点検支援技術性能カタログ」を参考にしながら、省力化などに繋がる幅広い分野について、新技術の活用を検討してまいります。今後も、効率的な点検を行い、道路の安全性、信頼性を確保してまいります。
次に、技術者不足の市町村に対する橋梁の点検業務の支援についてであります。
県内市町村では、技術者が不足する自治体が多数あり、点検業務の発注、点検に伴う関係機関との協議・調整や健全性の診断など、技術力を必要とする業務に不安を抱えております。このため、市町村の発注支援を行っている愛知県都市整備協会において、市町村の点検、診断業務をまとめて代行し、発注する「道路橋定期点検地域一括発注」を、2015年度から実施しております。地域一括発注における点検結果をもとにした健全性の診断にあたっては、市町村、愛知県都市整備協会、及び点検受託業者からなる「診断結果評価会議」を開催しており、適切な診断結果の判定ができるよう、国、県、及び有識者も参加し、技術的な助言を行っております。これにより、技術者不足に悩む市町村が管理する多くの橋梁の点検、診断が円滑に行われております。このほか、本県としても、市町村職員の技術力向上のため、劣化した橋梁を再現した、名古屋大学にある実験研修施設を利用した現場研修や、新技術の体験研修を開催しており、多くの市町村職員に参加いただいております。
(知事答弁要旨)
道路施設の点検における新技術の活用に関連し、私からもお答えいたします。
本県では高度経済成長期などに集中的に社会インフラの整備が進められ、現在の「産業首都あいち」の基盤を築き上げてまいりましたが、今後、これらの施設は、加速度的に高齢化してまいります。
本年5月に明治用水頭首工で発生した大規模な漏水事故では用水供給が一時停止し、経済活動に多大な支障を及ぼすこととなりました。改めて社会インフラの機能保全の重要性を認識したところであります。こうした社会インフラの適切な維持管理には、DXの推進が有効でありまして、道路や河川、下水道などに関するデータを、位置情報を基に、相互に関連づけるデータベースの構築を図るなど、一層の効率化を図ってまいります。また、県や市町村管理の社会インフラは一体となって機能するものであることから、社会インフラ全体として機能するよう、今後も、国、県、市町村が連携して、点検・機能保全にしっかりと取り組んでまいります。
3、小中学校における不登校児童生徒への支援について
(教育長答弁要旨)
はじめに、小中学校の不登校児童生徒への支援についてお答えをいたします。
県教育委員会では、スクールカウンセラーの配置の拡充や、スクールソーシャルワーカーの配置に係る経費の一部を補助し、小中学校における不登校の未然防止に取り組んでおります。
また、市町村教育委員会では、公民館や図書館などの市町村の施設の中に教育支援センターを設置して、不登校児童生徒の学校への復帰に向けた支援を行っています。
しかしながら、不登校児童生徒の数は、依然として増加傾向にあり、高い水準で推移をしております。そのため、今後は、学校への復帰のみを目指すのではなく、本人が不登校になった理由や置かれている状況に応じて、自分に合った学び方を選択し、社会的な自立に向けて、進路を主体的に考えていけるよう支援を行う必要がございます。
そこで、議員お示しの広島県の例も参考に、本県の総合教育センターにおいても、2026年度の岡崎市への移転を契機に、不登校支援の拠点となる機能を導入してまいります。
そこでは、不登校児童生徒のためのフリースペースの設置や、高校進学に向けた進路相談、オンラインによる仮想空間を活用した教育支援や教材の提供を行っていくことを考えております。
なお、仮想空間による教育支援については、市町村のニーズを把握した上で、来年度から活用ができるよう準備を進めてまいります。
県教育委員会としましては、今後も、県と市町村教育委員会が役割分担をしながら、不登校児童生徒一人一人が可能性を伸ばすことができる多様な教育機会を提供し、きめ細かな支援を行ってまいります。
4、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減について
(教育長答弁要旨)
次に、県立高校の空調の公費化に伴う保護者負担の軽減についてお答えいたします。
県立高校の空調設備については、昨年4月から、PTAが設置していた137校において、クラスルーム分の普通教室に係る費用を公費負担しております。なお、空調が未設置でありました11校においては、公費により普通教室に新設をいたしました。これにより、137校における保護者の負担額は、108校において減額がされており、保護者1人当たりの年間負担額の平均は、普通教室の公費化以前の 12,314円から今年度は7,443円と、4,871円の減額となり、率にして約4割の軽減がなされております。
一方、保護者負担額を減額しなかった学校は29校あり、その主な理由は、「普通教室は公費化されたものの、生徒数が減少したことにより、特別教室の空調に係る1人当たりの負担額が増額となったこと」や、「普通教室の公費化に伴う保護者負担の減額分を、空調が未設置となっている特別教室への設置費用に振り替えたこと」となっております。
このように保護者の負担が軽減されていない学校もありますが、生徒数の減少は少子化によるものでありますので、教育委員会としましては、今後、そうした学校においても普通教室の公費化の効果が受けられるよう、検討してまいります。また、特別教室への空調の設置につきましては、全国の公立高校における設置が年々進んでいる状況にありますので、他県の状況を見ながら、その在り方について考えてまいります。