それでは、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について、順次、お尋ねをいたします。
1、県税収入の見通しと今後の財政運営について質問の第1は、「財政運営」として、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお伺いたします。
まず初めに、県税収入の見通しについて、であります。来年度当初予算における県税収入は、本年度の当初予算額を1,137億円下回る1兆532億円が計上されております。
法人二税に加え、地方消費税や個人県民税といった幅広い税目で減収が見込まれているとのことであります。
東海地域の最近の経済情勢を見ますと、生産活動が自動車関連産業を中心に緩(ゆる)やかに回復するなど、持ち直しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、個人消費がサービス消費を中心に減少し、雇用情勢も弱い動きが続くなど、厳しい状況が残るところであります。
先行きにつきましても、引き続き持ち直しが続くことが期待されるものの、内外の感染拡大が、輸出型産業が集積する本県経済へ与える影響が懸念されるところであります。
そこでお尋ねいたします。
このような東海地域の経済情勢を踏まえ、来年度の県税収入をどのように見込まれたのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、今後の財政運営について、であります。本年はコロナ禍克服への突破口を開く重要な年であります。
感染拡大に歯止めをかける取組を強力に推し進めながら、県民の暮らしを足元から支える施策をより丁寧に行っていかなければなりません。その上で、ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、短期・中長期の両面から「安心と希望の未来、人と地域を生かす社会」を目指して、着実に施策を推進していく必要があります。令和3年度当初予算は、大変厳しい財政状況の中での編成となりましたが、内容を見ますと、今後の財政運営上の懸念もいくつか見受けられます。
まず、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策に1,300億円を超える予算を計上したことで、当初予算の規模は過去最大となりました。また、高齢化の進展等に伴って増加の一途をたどっている医療・介護などの扶助費が、今回の当初予算において初めて3,000億円を超えたほか、公債費についても、以前、一般会計で計上していた借換(かりかえ)債(さい)の影響を除くと、過去最大の予算額となるなど、義務的経費の増加による財政の硬直化が大変懸念されます。
一方、歳入では、県税及び地方(ちほう)譲与(じょうよ)税の大幅な減収見込みに対して、
地方交付税の振替(ふりかえ)措置である臨時財政対策債の大幅な増加を見込んだことなどにより、県債の予算額が、当初予算としては初めて4,000億円を超えました。この結果、2021年度末の県債残高は5兆6,404億円となり、こちらも過去最大となる見込みであります。
未曾有のコロナ禍においては、県民の命と生活を守り抜くための施策を躊躇(ちゅうちょ)なく実行していくことが何よりも大切であるため、財源確保のために県債を最大限に活用することはやむを得ないと受け止めております。
しかしながら、県債残高の累増(るいぞう)は公債費負担の増加につながり、財政の硬直化をさらにめる要因になるとともに、将来にわたる本県財政の持続可能性という観点からも、決して望ましいものではありません。
そこでお尋ねいたします。
今後の財政運営において、増加する県債残高をどのように捉(とら)え、取り組んでいこうと考えておられるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
2、「コロナ禍から県民を守る地域づくり」について質問の第2は、「コロナ禍から県民を守る地域づくり」について、であります。まず、新型コロナウイルスワクチン接種の相談体制等について、お伺いいたします。
昨年1月に国内で初めての感染者が確認されて以来流行している新型コロナウイルス感染症は、依然として厳しい状況下であります。
そのような中、ワクチン接種は、感染拡大に歯止めをかける手段として、大きな期待が寄せられています。現在のところ、国内で接種に使用されるワクチンは、米国ファイザー社に加え、米国モデルナ社及び英国アストラゼネカ社が製造したものが予定されており、このうち、ファイザー社製のワクチンはすでに国内で薬事承認されており、先行接種として、医療従事者約四万人を対象とした接種が始まっています。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンはメッセンジャーRNA(アールエヌエー)ワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンです。ウイルスベクターワクチンは、すでに先天性の代謝(たいしゃ)疾患や癌(がん)の治療に応用されており、感染症の領域でもエボラ出血熱のワクチンとして海外で実用化されています。
一方のメッセンジャーRNA(アールエヌエー)を用いたワクチン開発は新しい技術であり、実用化されるのは今回が初めてとなります。
今回のワクチン接種については、新しい技術によるワクチンに対して不安を感じ、副反応を心配する方、接種を当面見合わせようとされる方が相当(そうとう)程度(ていど)見込まれていることが、民間のアンケート等で明らかとなっています。
通常、ワクチンの承認申請には、臨床試験により収集された安全性と有効性に関するデータを提出することが必要であり、提出されたデータの解析に時間を要するため、承認には少なくとも10年以上を要することが一般的ですが、今回のワクチンについては、迅速性(じんそくせい)を最優先として、異例とも言えるスピードで承認されています。
このことも、県民の方が不安を感じる一つの要因であると考えられます。先月17日から始まった医療従事者等(とう)に対する国の先行接種では、いくつかの医療機関から、軽度の副反応事例が報告されておりますが、概(おおむ)ね、大きな問題もなく順調に進められています。
しかしながら、副反応は、接種後、数週間経過した後に起こることもありうることから、
国ではワクチン接種後、約1か月間、健康状況の調査を行い、被(ひ)接種者の健康経過をしっかりと見守っていくこととしています。
そこでお尋ねいたします。
県民の方に安心してワクチンを接種していただくためには、万一、副反応等が出てしまった場合にも対応できる体制を整えておくことが重要だと考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします次に、「学校の新しい生活様式」に向けた、児童生徒への支援体制と学校運営の支援の充実について、お伺いいたします。
昨年5月末にコロナ禍で休業していた学校が再開されて以来、学校では、臨時休業期間中の授業時間を取り戻すために、夏休みの短縮や学校行事を中止・短縮するなどの見直しをせざるを得ない状況となりました。
さらに、経済的状況の悪化により、家庭環境が急変するなど、様々なストレスを抱えた児童生徒も増えました。
こうしたことから、様々なストレスを抱えた児童生徒への対応や、日々の感染症対策等により、これまで以上に業務が増えた教員への対応として、本年度はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフ、学習指導員の追加配置等が行われました。
ある市では、スクールソーシャルワーカーが、ほぼ全ての小中学校を訪問するなどし、支援が必要な家庭の早期発見につながったと聞いております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症については、第三波による感染拡大に見られるように、未だ、予断を許さない状況であり、今後も児童生徒にとって、制約の多い学校生活が長く続くことが予測されます。
この状況が続けば、心や体の不調を抱えたり、家庭状況が不安定となったりする児童生徒がさらに増え、一人一人の状況にきめ細かく対応していくために教員の業務がより一層増えていくことは、容易に想像できます。
教員の業務の増加は、これまで以上に、教育活動に支障を来すことが懸念されます。児童生徒が、長期休業明けに、久しぶりに出会った友人や先生方の顔を見たときの笑顔を見れば、学校教育の重要性を感じずにはいられません。
コロナ禍においても、子供たちには、感染予防対策を最優先しながらも、学校で友達と先生と共に学ぶことの楽しさを味わわせることができるよう、多くの大人の手で支援をし続けることが大切であると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
県教育委員会として、「学校の新しい生活様式」に向けた、児童生徒への支援体制と学校運営の支援を、今後、どのように充実していかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。
3、「支え合う地域づくり」について質問の第3は、「支え合う地域づくり」について、であります。
まず、地域共生社会の実現に向けた取組について、お伺いいたします。
少子高齢化の進展に伴う家族構成の変化や、住民同士のつながりの希薄化(きはくか)などにより、地域社会における支え合いの力が低下し、こうしたことを背景に、高齢の親が地域社会から孤立し、長期間ひきこもりの状態にある中高年の子どもの生活を支える「8050(はちまるごーまる)問題」や、子育てと親の介護を同時に担(にな)う「ダブルケア」の問題など、個人や世帯が抱(かか)える課題は複雑化してきています。
こうした複雑化する課題を解決していくためには、介護や子育て、生活(せいかつ)困窮(こんきゅう)など従来の分野別(べつ)の支援では十分な対応が難しく、分野横断的(おうだんてき)な支援が求められるとともに、行政による取組だけでなく、人と人、人と地域社会がつながり、一人ひとりが生きがいを持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる「地域共生社会」の実現が求められております。
具体的には、介護や障害、子ども、生活困窮などの分野を問わず、複雑化(ふくざつか)する相談を受け止めることができる「相談支援」、ひきこもりの状態にある方などに対し、世帯や個人の課題に応じて社会とのつながりを促(うなが)す「参加支援」、独居(どっきょ)高齢者や子育て世帯の孤立などを防ぐために、住民同士の交流を深め、互いに支え合う地域社会を構築する「地域づくりに向けた支援」の3つの取組を推進していくことが重要となってまいります。
そのため、昨年6月に社会福祉法が改正され、これら3つの取組を一体的に進める「重層的(じゅうそうてき)支援体制整備(せいび)事業(じぎょう)」が創設され、本年4月から市町村が実施できることとされました。また、この事業に取り組む市町村(しちょうそん)への財政支援として、事業に要する費用の一部を国や県が負担する交付金制度も新たに設けられたところであります。昨年9月議会の私ども公明党の代表質問において、地域共生社会の実現(じつげん)に向けた県の取組について質問をしたところ、知事からは、今年度、市町村職員(しょくいん)向けの研修会を実施するなど、市町村の取組を支援していく旨のご答弁をいただきました。
そこでお尋ねします。
県として、地域共生社会の実現に向けてどのような取組を進めてこられたのか、また、今後、どのように進めていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、子どもの貧困対策について、お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、経済活動が停滞し、休業による収入の減少や失業者の増加など、県民の生活にも多大な影響が生じ、こうした中、子どもの貧困の問題はより深刻さを増していることが懸念されます。
昨年7月に厚生労働省が公表した「国民生活基礎(きそ)調査」によれば、2018年の子どもの貧困率は13.5%であり、子どもの7人に1人が貧困状態にあることが示されました。子どもの貧困率とは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合を示しており、我が国における子どもの貧困率は、2021年の16.3%をピークとして、これまで改善に向けて進んでおり、前回2015年の13.9%から2018年には13.5%へとわずかに改善してまいりました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇い止めなどにより就労の機会が失われ、経済的に困窮する子育て世帯も増加し、数字以上に子どもの貧困の問題はより一層深刻化していると考えます。
県においては、2018年2月に「子どもが輝く未来へのロードマップ」を策定し、「教育の機会の均等」、「健(すこ)やかな成育環境」、「支援体制の充実」の3つの視点(してん)から、子どもの貧困に対する取組を進めてきました。
具体的には、生活困窮者に対する自立に向けた支援や生活困窮世帯の子どもに対する学習支援や居場所の提供、また「子どもが輝く未来基金」を活用し、子ども食堂の開設や児童養護施設等の子どもたちへの支援などに取り組んできたところでありますが、コロナ禍により、子どもの貧困がより一層深刻化している現状においては、子どもの貧困対策の充実・強化が強く求められております。
そこで、お尋ねいたします。
コロナ禍における子どもの貧困への対応について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、AYA世代のがん患者に対する妊よう性温存について、お伺いいたします。
AYA世代とは、Adlescent&YoungAdult(アドレッセント アンド ヤング アダルト)の略で、一般的に15歳から39歳までの思春期及び若年成人世代を言います。
また、妊よう性とは、妊娠するための力のことを言い、女性だけでなく男性にも共通して関係することであります。
抗がん剤や放射線、更には手術などの治療により、生殖機能が影響を受け、妊よう性が低下したり、失われたりすることがあります。
AYA世代のがん患者さんにとって、妊よう性の温存は、将来自分の子どもを持つという希望を抱(だ)いて、前向きにがん治療に取り組むためにも、大変重要であると考えます。
しかしながら、妊よう性温存治療を進めるに当たっては、2つの大きな課題があると考えています。まず、妊よう性温存に関する患者さんへの情報提供についてです。
国立がん研究センターが2019年度に全国のがん患者さんを対象に実施した調査によれば、がん治療を開始する前に、医師からその治療による妊よう性への影響について説明があったとする回答割合は、約半数にとどまっており、妊よう性温存に関する情報がAYA世代のがん患者さんに十分届いていない可能性があります。
AYA世代のがん患者さんは年代によっても、病状だけでなく就学、就労など個々の事情が大きく異なり、正確な情報を県や医療機関がきめ細かく、確実に患者さんへ提供することが必要であると考えます。
また、高額な治療費に対する経済的な支援についても重要です。妊よう性温存治療は医療保険が適用されないため、全額自己負担となります。
患者団体が2017年に、がん罹患(りかん)時に20歳から50歳であった男女を対象に実施したアンケートによれば、約21%の人が妊よう性温存治療に関する費用が高額であるため、治療をあきらめたと回答しております。
特にAYA世代は、若年で経済的基盤が弱い方が多く、高額ながん治療費に加え、妊よう性温存治療費も負担しなければならず、経済的な支援を必要としています。
そこでお尋ねいたします。
AYA世代のがん患者さんの妊よう性温存について、どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
4、「魅力・活力ある地域づくり」について質問の第4は、「魅力・活力ある地域づくり」について、であります。まず、地域のイノベーションを支えるスタートアップの創出・育成について、お伺いいたします。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により社会経済を支える多くの企業がダメージを受け、先行き不透明感が世界中に広がっています。
感染再拡大に苛(さいな)まれる中でも、欧米諸国では、ポストコロナにおいて今後成長を牽引(けんいん)するイノベーションを加速する「攻め」の姿勢に軸足(じくあし)が移されています。
我が国でも昨年12月に総合経済対策が閣議決定され、中小企業の事業再構築(さいこうちく)支援を通じた体質強化や、スタートアップを始めイノベーションを生み出す環境の強化などの施策に資源を集中投下する方針が示されました。
県では、スタートアップを起爆剤とするイノベーション創出に本腰を入れて取り組んでいるところですが、12月に開催された日本経済新聞主催のスタートアップをテーマとするシンポジウムでは、様々な意見が出される中で、地元企業には優秀な技術者が多くおり、そうした人材を有効に活用する必要があるとの課題が挙げられていました。
本県には、大企業はもとより中小企業にも、多くの優秀な人材がおり、まだまだその力を発揮する余地があるということだと思います。
一方でグローバル化やデジタル技術の加速度的(かそくどてき)な進展により、今後、産業構造も大きく変革されていくことが想定されます。
日本の成長エンジンであるこの地域が、引き続き産業競争力を維持・強化していくためには、地元の優秀な人材が活躍するスタートアップの起業を促(うなが)し、成長を後押しすることで、イノベーションの起爆剤となるスタートアップの厚みをさらに増やし、本県産業の変革を支えていかねばなりません。
そこでお尋ねいたします。
2024年10月に開設するステーションAiには1,000者のスタートアップを見込んでいるとのことですが、当地域の人材を生かして、どのようにイノベーションを支えるスタートアップを創出・育成していかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、観光振興におけるジブリパーク開業効果の活用について、お伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症は、観光の分野にも大きな影響を与えております。人の移動を伴う観光需要は大幅に減少し、観光関連産業は大変厳しい状況に置かれております。JNTO(ジェーエヌティーオー)、日本政府観光局の統計では、2010年に861万人だった訪日外国人旅行者数が、2019年には3,188万人まで増加するなど、右肩上がりの成長を続けていました。
今後、ワクチン接種の進展などにより、感染症への不安がなくなれば、観光は、再び成長性のある魅力的な市場となり、再び地域間競争が厳しさを増していくと思われます。新型コロナウイルス感染症の影響で旅行・観光市場が冷え込む中においても、感染症が終息した後の反転攻勢に向けて、しっかりと準備を進めていく必要があると考えます。
県では、昨年12月に策定した「あいち観光戦略2021(にせんにじゅういち) -(から)2023(にせんにじゅうさん)」において、観光関連産業の振興を図ることを目的として、感染拡大前に過去最大であった2019年の観光消費額の実績、約8,600億円をさらに伸ばし、2023年に1兆円とする目標を設定しております。
そして、この目的・目標の達成に向けた取組の方向として、「多様な資源の磨き上げによる観光コンテンツの高付加価値化(かちか)」と、「愛知の独自の強みの活用・伸長による競争力の向上」を掲げております。
2022年秋に開業予定のジブリパークは、間違いなく、世界中から注目を集める、魅力ある付加価値の高い観光コンテンツとして、観光振興における本県の最大の強みの一つとなることから、その開業効果を十分に活用することにより、本県の観光を、さらに大きく伸ばしていくことが期待されます。
そこでお尋ねいたします。
ジブリパークの開業効果を県内に広く波及し、観光消費を拡大させていくため、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
5、「安全・安心な地域づくり」について質問の第5は、「安全・安心な地域づくり」についてであります。
まず、若者世代の防犯意識の醸成(じょうせい)について、お伺いいたします。本県における昨年の刑法犯認知(にんち)件数は、前年対比20%減少の39,897件であり、2006年以降、5次にわたる短期・集中的な3年ごとの地域安全戦略の取組により、戦後最多を記録した2003年の約22万5千件から約2割まで減少いたしました。
しかしながら、特殊詐欺につきましては、昨年の認知件数は569件と8%減少したものの、被害総額は約13億円と30%増加しており、県民の安全安心を脅かす非常に憂慮すべき状況にあります。
また、被害者の8割以上を高齢者が占めており、老後の生活の糧(かて)となる貴重な財産を奪われ、精神的な痛手も大きく、極めて卑劣で許されない犯罪であります。
その犯罪構造を見てみますと、若者が重大な犯罪という認識もなく、アルバイト感覚で「受け子」や「架(か)け子」等の実行犯として加担している現状にあります。
今後も、コロナ禍における収入の減少と失業者の増加といった社会不安に乗じて、特殊詐欺が一層増加することも懸念されます。
このため、県警察においては、検挙活動の強化に加え、留守番電話機能等の活用を促す広報啓発や、特殊詐欺被害(ひがい)防止(ぼうし)コールセンターから高齢者宅への注意喚起を行うとともに、高額出金者(しゅっきんしゃ)への声掛けと警察への通報を金融機関(きかん)等(とう)に依頼するなど、被害の未然防止のための各種(かくしゅ)取組(とりくみ)が展開されているところであります。
現在策定が進められております、次期「あいち地域安全戦略2023(にせんにじゅうさん)」では、刑法犯認知(にんち)件数の更なる減少を目指して、各種の施策が盛り込まれておりますが、特殊詐欺の撲滅に向け、抜本的な対策を講じていくためには、これら県警察の対策に加え、若者世代の防犯(ぼうはん)意識や規範(きはん)意識の醸成(じょうせい)など、新たな視点からの対策も非常に重要だと考えます。
そこでお尋ねいたします。
特殊詐欺の撲滅に向け、若者世代の防犯(ぼうはん)意識を醸成(じょうせい)していくために、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を踏まえた今後の治水対策について、お伺いいたします。
近年、気候変動の影響により水(みず)災害(さいがい)は激甚化・頻発(ひんぱつ)化(か)し、
令和2年7月豪雨では、梅雨(ばいう)前線の停滞により全国各地で記録的な大雨となり、大河川での氾濫が相次いだほか、土砂災害、低地(ていち)の浸水等により、人的被害や物的被害が多く発生しました。
県においては、愛知県地域強靱化計画に基づき、2018年から国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を活用するなど、これまでも様々な防災・減災対策やインフラの老朽化対策に取り組んでおりますが、未だ備えは十分ではなく、
災害に屈しない強靱な県土づくりを進めるためには、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図る必要があります。
こうした中、国は、「国土強靱化基本計画」に基づき、概ね15兆円程度を目処とした「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を昨年12月に定め、来年度からの5年間で重点的かつ集中的に対策を講ずることとしました。
この対策は、「風水害(ふうすいがい)や大規模地震等への対策」、「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」、「デジタル化等の推進」を柱として、取組を進めることとしております。本県は、日本最大のゼロメートル地帯に、約80万人の県民が暮らし製造品出荷額等が約9兆円に上る産業も集積しています。
しかし、伊勢湾台風や高度成長期に集中的に整備され、ゼロメートル地帯を守ってきた排水機場などのインフラは、今後一斉に老朽化が進み、維持管理・更新を確実に実施しなければ、中長期的なトータルコストの増大を招くのみならず、本県の行政・社会経済システムが機能不全に陥る懸念があります。
この現況下において、大規模な水(みず)災害(さいがい)が発生すると、多くの人命が危機にさらされ、また、産業や交通が機能停止するようなことがあれば、全国に甚大な経済損失を与えることとなります。
「防災・減災を政治、社会の主流に」を掲げる、私たち公明党は、地域を守る防災インフラの老朽化対策とあわせ、激甚化(げきじんか)する風水害(ふうすいがい)への対策を加速していかなければならないと考えます。
そこでお尋ねいたします。
「5か年加速化対策」を踏(ふ)まえた本県における今後の治水対策についてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
6、「一人ひとりが輝く地域づくり」について質問の第6は、「一人ひとりが輝く地域づくり」について、であります。まず、愛知県におけるDX(ディーエックス)の推進について、お伺いいたします。
国は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を通じ、行政分野のデジタル化に関する様々な課題が明らかになったことなどを受け、その対応を含め、社会全体のデジタル化を強力に進めることとし、昨年12月25日には「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定しました。
この基本方針では、デジタル庁の設置の考え方や、デジタル社会の目指すビジョンとして、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を掲げ、このような社会を目指すことは、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めることにつながるとしています。
県では、昨年10月に「愛知県DX推進本部」を立ち上げ、DX推進本部を司令塔として、プランに掲げる施策に全庁一丸となって取り組むこととし、12月には、行政のデジタル化、産業界におけるDXの促進(そくしん)、産業人材育成、ICT教育など様々な施策を幅広く盛り込み、新たに進捗(しんちょく)管理指標(しひょう)等(とう)を設定する「あいちDX推進プラン2025(にせんにじゅうご)」を策定しております。
その間、11月議会には、行政手続等のオンライン化に向けた課題分析(ぶんせき)等(とう)、県行政のデジタル化に向けた取組に係る予算を提案されるなど、これらの矢継早の取組を高く評価したいと思います。また、県のデジタル化には、民間との連携・協力が極めて重要であることは言うまでもありません。
12月16日には、我が党の議員も立ち会わせていただき、「愛知県と日本マイクロソフト株式会社と連携・協力に関する包括協定」が締結されました。
デジタルを利用した学校教育やデジタル人材の育成などについて連携・協力することとし、民間との連携にも県は積極的に取り組む姿勢を見せております。
我が党も、民間と連携を進める県の取組の後押しをしてまいりたいと思います。来年度当初予算案では、プラン策定後最初の予算として、テレワーク環境の整備、デジタル人材育成、自動車安全技術の推進、スマート農業の推進など、新規・拡充事業を含め幅広く計上されており、この中には、我が党が要望しているデジタル社会を支える人材の育成の強力な推進、「デジタル・ミニマム」の視点を踏まえた高齢者を始めデジタル機器に不慣れな人に対する環境整備も含まれており、きめ細かな対応がなされております。
早急に着手し、着実に成果を上げていただきたいと思います。その上で、愛知県における行政のデジタル化・DXを迅速に推進し、県民サービスの向上に迅速・着実につなげていくためには、司令塔であるDX推進本部を中心に、県の組織体制をさらに整備し、必要となる予算をしっかりと確保し、集中的に取り組むことが必要と思われます。
そこでお尋ねいたします。
国も行政のデジタル化を進める中、県として今後どのように行政のデジタル化・DXに取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次に、県立商業高校におけるデジタル人材の育成について、お伺いいたします。
現在、県においては、先ほど申し上げたとおり「あいちDX推進プラン2025(にせんにじゅうご)」が策定(さくてい)され、「デジタル人材の育成」が柱(はしら)の一つとして掲(かか)げられ、学校教育においては、ビジネスモデルの変革を推進できる産業人材の育成に向けて、ICT教育を充実することとしております。
こうした中、教育委員会では、高速通信ネットワークの整備や、生徒用タブレット端末4万台の配備を進め、民間のオンラインサービス「スタディサプリ」を全県立学校の生徒を対象に導入して学習支援に取り組むなど、ICT教育の充実を図っております。
また、来年度から県立工業高校を工科高校に校名変更するとともに、「IT工学科」の新設や「ロボット工学科」の拡大など、デジタル化が進む産業界で即戦力となる人材の育成に取り組んでおります。
さて、本県の職業学科の中で工業高校に次いで生徒数が多いのは商業高校であります。本県は、商業科で学ぶ生徒は全国で最も多く、約1万3千人であります。
そのうち県立商業高校は約8千人であり、以前からプログラミングやネットワークなどの情報教育に取り組んでおります。
こうしたデジタル人材育成の素地(そじ)がある商業高校の学びを更に充実させていくことが重要であると考えます。県立商業高校には、11月補正予算により生徒一人一台、タブレット端末を重点的に配備することとされております。
また、2月補正予算においても、国が進める工業や商業などの職業(しょくぎょう)系(けい)専門高校を対象とした「スマート専門高校」の実現に向けた事業を受け、県立商業高校において最先端のデジタル化に対応した産業教育装置(そうち)を整備する予算が計上されております。
そこでお尋ねいたします。
県立商業高校ではデジタル人材の育成に向けて、どのような取組を進めていかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。
7、新しい生活様式に対応したテレワークの推進について最後に、新しい生活様式に対応したテレワークの推進について、お伺いいたします。
ICTを活用して時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を可能にするテレワークは、従業員の仕事と生活を両立させるワーク・ライフ・バランスの実現や、女性、障害者などが活躍する機会の拡大、労働時間や通勤時間の削減など、新しい働き方を実現する手段の一つでもあります。
また、企業にとっても、生産性の向上を図ることや、人材の確保につながるほか、オフィスの維持や従業員の移動に伴うコストの削減につながる効果も期待され、さらにはBCP対策として、緊急時の事業継続としても効果が期待されます。
昨年4月、5月の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言を契機に、急速にテレワークが広まりましたが、テレワークは緊急事態宣言解除後減少していると言われています。
一般社団法人中部経済連合会が2020年10月~11月に実施した「コロナショックによる課題認識、対応状況に関するアンケート」においても、25%の企業がテレワークを新型コロナ以降に実施したが、現在は取りやめたという結果になっております。
一方、テレワークの導入に当たっては、できる業務が限られている、情報セキュリティの確保が難しい、書類・資料が電子化されていない、勤怠管理が難しいといった様々な課題が明らかになっております。
さらに、実際にテレワークを実施した企業からも、部下と上司、同僚、取引先とのコミュニケーションが取りづらかった、人事評価や健康状況の把握など、これまで想定していなかった労務管理上の対応に苦慮したとの声も聴いております。
ウィズコロナ・ポストコロナの時代も見据えると、テレワークの役割はますます重要であり、企業がこうした課題を克服し、適切に労務管理を行いながら、労働者が安心して働くことのできる形でテレワークを推進し、定着させていくことが必要であります。
そこでお尋ねいたします。
ウィズコロナ・ポストコロナを見据え、テレワークの導入促進と定着のために今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
以上、公明党愛知県議員団を代表しまして、県政各般にわたる様々な課題について、質問をしてまいりました。知事始め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。
ご静聴ありがとうございました。